「省エネ」という言葉が謳われるようになり、ずいぶん経つように思います。
僕らの世界、つまり住宅建築においていえば、国の指針を主軸に地域ごとに住宅の省エネ性能の向上に「牛歩」してきた歴史があります。
エネルギーの無駄使いを減らし、石油依存度を下げるために「省エネ基準」が施行されたのは、第二次オイルショックが起こった1979年。
その後、1992年の改正で「新省エネ基準」、1999年の改正で「次世代省エネ基準」となり、
今回13年ぶりとなる2013年に改正された現行の基準、いわゆる「平成25年度基準」をベースに、住宅業界の大半は動いています。
詳しい経緯はここでは述べませんが、Wikipediaの「次世代省エネ基準」の冒頭に興味深い記事が載っています。
「次世代省エネルギー基準とは、1999年3月に、建設省により改正された日本の断熱化基準の通称である。
この基準により、先進国の中では最低だった日本の住宅の断熱基準が、やっと欧米基準の最低レベルに達するようになった[1]。ただし、次世代省エネルギー基準も、多くの先進国の断熱基準よりゆるく設定されている上、法的拘束力が無いため、日本の住宅の断熱化率は先進国の中でも最低である[要出典]。
2010年にドイツで行われたパッシブハウスカンファレンスにて日本の次世代省エネルギー基準の値を発表したら会場から笑いが起こった。さらに、この基準が義務ではなく努力目標であり、住宅の30%以下しか達成出来ていない事を発言したら会場から失笑を買った[2]。」
つまり、日本の住宅の省エネに対する考えは、先進諸国のなかでは最低レベルに近いということですね。
省エネを本気で考え、体系化したり、ビジネスベースにしたり、各方面で様々な試みがなされています。
国策としての「長期優良住宅」「低炭素住宅」「ゼロ・エネルギー住宅」などを筆頭に、独自の基準や方式を採用しているものもたくさん見受けられます。
あまりに混沌としすぎて、いったい何を基準に考えたらいいのものやら、我々業界の人間でさえ混乱し、
結局「国に従え」「法に従え」と多くの住宅建築従事者の多くは、おしなべて平均値を採択し、となりのやりかたを見ながら手探りで牛歩していたかと思います。
もちろん、僕自身も恥ずかしながら御多分にもれず。。。でしたが、どこかすっきりしない。
そんななか、大手ハウスメーカーは独自に開発を進め、地元のパワービルダーも、そこを戦場と決め顧客獲得合戦が繰り広げられていたように思います。
いや、今現在もそういった図式はさほど変わってはいないのかもしれません。
世界基準の住宅建物性能を日本に普及させるべく、ご尽力なさっておられる団体の一つに「PASSIVE HOUSE JAPAN」があります。
http://passivehouse-japan.org/
どういうご縁か、そこの代表である森みわさんのご講演を拝聴する機会がありまして、一寸興味を抱いたわけです。
話はほいほいと進み、至極基本的なテストを受け、この「省エネ建物診断士」となるに至ったわけです。
僕らが活動の場となっている広島県東部地域は、省エネの地域区分としては6地域(旧4地域)で、北海道や東北に比べてしばりも緩いものとなっています。
それは、すなわち「温暖な地域だから、そんなに住宅の断熱性能やその他省エネに関して、それほど大げさに考えないでいいですよ」と理解されていると言っても過言ではないと思います。
でも、実際には夏には35℃を超える猛暑日が続くし、冬には瀬戸内沿岸でも氷点下になることもあるわけです。
この「温暖ボケ」を脱するべく、自分にカツを入れ、これからも努力しつづけて、いい住宅空間をご提案・ご提供できたらと思います。
デザインやイメージだけではだめです。
既製品をカタログから選ぶ住宅作りなど卒業しましょう。
プランニングや動線、材料・素材や構造、そしてこれらと省エネを含め、トータルでご提案・ご提供できる工務店であり続けたいと思います。
新築・改修を問わず、お気軽にお申し付けください。