株式会社幸工務店

■やっぱり木構造が好き

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木造軸組みスケッチ

自分の城を持ちたい!と思ったときに,日本人の多くは木造住宅を思い浮かべると思います。
その美しい軸組は,在来構法とも呼ばれ,柱と梁で構成されています。

なぜ,美しいのか。

それは,柱と梁の接合部にあると思っています。
もちろん,3次元に構造部が組みあがっていくその様は,建築のダイナミズムです。
なにもないところから,大きな構造物ができると感動します。

しかし,鉄骨造と違うところは柱と梁の接合部分です。
鉄骨造仕口

木造在来軸組構法の場合,柱にホゾをつけ,梁にホゾ穴を掘り,各部材を規矩術をベースに土台から順番に組み上げていきます。
木造構造

木造仕口
そうすると,あたかも木材がそこに有機的に一つの生き物のように,自然に,そして重力に呼応するかのように存在するのです。
接合部は概ね隠れて見えなくなり,古の木工匠たちが考えた材を加工することで,材のみで組み上げていく在来軸組構法。
古民家などでは,曲がりくねった小屋梁たちに圧倒された方も少なくないでしょう。
それら部材のみで組み合わさった構造体が,木構造の美しさの要だと常日頃から思っています。

ある意味,コンクリート打ちっぱなしが美しいと感じるのも,さも一体的な構造体である,ということで木構造と似ている部分なのかもしれません。

僕の一番好きなこの構造部材が組みあがった状態。
美しいなぁ,と。
もう20年ばかりこの世界にいますが,未だに感動します。

しかし,出来上がった家を見ると,壁と天井で構造部は隠れて見えなくなることがほとんど。
せめても,と化粧梁や大黒柱などで木構造の息吹をアラワシで見せたい,見てもらいたいと設計時に奮闘したりするわけです。

昨今,省エネの観点からも真壁造や小屋組をそのまま見せるしつらいが減ってきています。
※悔しいかな,快適に暮らそうと思えば,断熱材の厚みに頼らざるを得ない現実…
真壁造などにすると,その断熱材の厚みが十分に確保しづらいのです。。。
もちろん,工夫することで改善はされます。

きっちりと計画段階から構造を意識し,梁の組み方を考え,人の生活を支え,大地震や台風などの自然の猛威に耐え忍ぶ建物を僕たちは建てています。
最近は,構造材の加工も工場でプレカットしますが,基本的な構造設計は僕らが行います。
そこには,計算だけではなかなか理解しづらい,たくさんの現場を経験してきた感覚も加味されています。

建物ごとに重心と剛心の距離をできるだけ近づけ,偏心が少なくなるよう耐力壁のバランスもシビアに計画します。
また,床倍率・水平構面という考え方も必須になってきており,耐力壁をきちんと働かせるための目には見えない地道な作業も盛り込みます。
さらに,必要・要望があれば構造計算(耐力壁を配置するだけの場合は,構造計算とは呼びません。)も行い,建築のプロとして建物の安全性の担保に注力するわけです。

「この構造部分全部見せたい!」といつも思いながら,しっかり写真におさめて天井や壁を施工していく,という悲しい現実。。。
もっともっと木組みの良さを設計に活かしたい!と思う今日この頃。

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