昨日、YKKのAPWフォーラム2015広島に参加してきました。
前さんの600枚を超えるスライド!を1時間半程度で駆け足で語っていただいた講演では、皮肉やジョークも随所にまじえ、あっというまの楽しい内容でした。
一番感じたことは、YKKが主催ということで、ひたすら樹脂サッシを勧める内容だったということ。
そして、なぜか「木製サッシ」という言葉が一度も出てこなかったこと。
2020年の省エネ基準義務化まであと5年。
YKKは本気で樹脂サッシを標準化すべく市場を巻き込んでいます。
かたや、Lixil(元トステム)は、樹脂サッシを捨て、アルミ樹脂複合サッシを本筋として進めるとのこと(Lixil営業マン談)
※このことは、また後日まとめてみます。
なぜ、木製サッシを本気で開発しないのかなぁ、と思いませんか?
クレームが怖いのか、大企業として利潤追求の礎にならないからなのか。。。
■フォーラムでは、昨今の住宅を取り巻く省エネ事情について、時代背景や各国の現状、国内の動向、商品の変遷と構成など興味深い話をたくさんお聞きしましたので備忘録として少しまとめてみます。
・新築着工数はここ数年90万戸前後で推移、2025年には60万戸前半へと落ち込む見通し。
・エネルギーの自給率は先進諸国の中でも我が国は非常に低いということ。
具体的には、1位のノルウェーは677%、2位のオーストラリア235%、8位アメリカ85%、15位フランス53%、20位ドイツ40%、30位韓国18%に対し、日本は33位でわずか6%。
・原子力発電が現状止まっている日本(アベ氏は再稼働に意欲的)は、今後化石燃料に依存するしかなく、電気料金の高騰は目に見えている。
・一部の住宅省エネ化反対勢力のなか、エネルギー事情を鑑みるともはや住宅の省エネ化は必須で避けて通れない。
・住宅の省エネ化とは、①外壁、屋根、サッシといった住宅の「外皮性能」の向上、②夏の冷房、冬の暖房、給湯といった設備と住まうことに伴う「一次消費エネルギー」の削減を考慮、という2点が主眼。
・「外皮性能」に関しては、断熱材の性能と厚み、および気密、そして開口部であるサッシの性能に尽きる。
・「一次消費エネルギー」とは、優れた「外皮性能」が確保された住宅において(ここ大切)、いかに電気使用量を抑えた(特に冬場の暖房!)エネルギー利用計画ができるかということ。
・関東一円で、ここ5年間に建てられた新築住宅に関する満足度調査(前さん)で、間取りや耐震、明るさは概ね満足という結果に対し、室内温熱環境や省エネ性能に関しては、着想・企画・設計段階と比べ、満足度が低いということ。
・節水便器やLED照明は、実はそれほど省エネに貢献していないということ。
・快適な居住空間になる温熱環境とは、「夏でも冬でも全身から穏やかに放熱したい」状態を満たしてくれること。
これには、優れた外皮性能が欠かせない。
・サッシにおいては、サッシ全体の性能Uwも大切だが、ガラスの熱貫流率Ug、フレームの熱貫流率Uf、その他ガラススペーサー部の性能、各々が大切。
・結露を考慮すると、Uw値だけでなく、Ug値とUf値の性能およびバランスが大切で、樹脂アルミ複合サッシは樹脂サッシに比べると結露を生じやすい(結露は一番弱い部分に集中する)
・ドイツでは、Uw値1.0を下回るとんでもないサッシ【樹脂フレーム・トリプルガラス】も、一般に普及している。
・日本で多く普及しているアルミサッシ【アルミフレーム・ペアガラス】はUw値3.49~4.65程度。
・昨今普及し始めている樹脂アルミ複合サッシ【室外側アルミ・室内側樹脂・ペアガラス】でもUw値は2.33~3.49程度。
・YKKのAPW330シリーズ(最低のラインナップ)でUw値1.09~1.20
その他、サーモ画像で温熱環境を可視化することのメリットと危険性、Low-eの話、実例や実験データなど多くの資料をもって解説をしていただきました。
まだまだこれから進化していく住宅。
目指す方向がだんだん見えて来た気がします。