株式会社幸工務店

中古住宅という選択肢。

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日本という国の住宅事情は,本当にまだまだ「戸建て新築」市場が強いです。
日経ビジネスでも,ドイツの住宅事情からみた日本の異常さを垣間見ることができます。

日経ビジネスONLINE「Why! なぜ日本人は住宅ローンに大金を払う?ドイツから見えた日本の家の異常さ」

35年ローンを組み,20年で価値がゼロになる日本。
2000年の新設住宅着工戸数は123万戸。
これが,2008年の世界的な金融危機の影響からか,2008年はには79万戸まで激減。
現在は90万戸/年あたりを推移していますが,ご承知のように総世帯数5245万戸に対し,総住宅数は6063万戸と,単純計算で818万戸の余剰住宅が統計上存在していることになります。

いつまでも止まらないスクラップアンドビルド。
「どうせ高額なローンを組んで買うなら新築がいい。」
「家は財産で資産だから」
「中古住宅はどのくらい余命があるの?」
一般的な日本人である僕も,この気持ちはなんとなくわかります。

住宅は投資だとする感覚は日本では薄く,中古住宅が新築時の価値を上回るなんて,業界にいる僕でさえなかなか考えにくいです。
実際,優良な中古住宅に出会うことも少なく,購入費用が断然安く済む中古住宅に付加価値を付けようにも,
「高い中古住宅を購入するくらいなら,新築を建てたい」と思う方も少なくないのではないでしょうか。
優良な中古住宅を,耐震改修・省エネ改修を行い,内外装・設備ともに再生させるとかなりの費用を要します。

僕が中古住宅を選ぶ基準は,まず立地。
軟弱地盤や湿気の多い土地,海抜の低い土地はまず欲しいと思いません。
※現在,福山市内でも人気の新築用分譲宅地のいくつかは海抜数メートルのところにあります。

そして大きな悩みは構造です。
昭和56年の建築基準法改正以前に建てられた住宅は,耐震性が不足している可能性が高いです。
これは事実です。
今から35年前,宮城県沖地震で崩壊した多くの住宅。
その反省から,主に壁量規程などが見直されました。
その当時の仕様は,すなわちその街の設計標準でもあり,同時に施工基準でもあります。
基礎は布基礎。防湿措置など,その意識すら薄かったと言えるでしょう。
当然ながら,地盤調査など皆無。
この基礎が一番のネックとなります。
「何年もつの?」という質問にもっとも答えに窮する瞬間です。

また,比較的良質地盤だったと仮定して。
上部構造の補強は最低でも内装をすべてはがして丸裸にする必要があります。
構造用の合板なども多く流通しておらず,筋かいも釘で止めてあるだけ。
多くの巨大地震において建物に入力される初動波である突上げ。
柱のほぞがこの突き上げによって抜けてしまうという概念が,今でこそ柱脚金物やホールダウン金物が普及していますが,少なかったと思います。
実際には,壁材や自重等で抑えこまれていますから,簡単には引きぬかれません。
耐震補強によって建物を固めるほど,建物の回転運動により引き抜き力が発生するので,少ない耐力壁が結果として柔らかい構造となり運良く大事に至っていない,というところでしょうか。
甘めに見て,先人たちの知恵(勘と経験)ということになります。
ここでも基礎に埋め込まれたホールダウン金物の再施工がネックとなります。

断熱材もきちんと入っていればいいほうで,向こうが透けて見えるほどの厚みで,当然当時の商品性能は低いです。
その施工技術も低く,おそらく壁の中で脱落してしまっていることも少なくないと思います。

また,ハウスメーカーの型式認定住宅も眉唾ものです。
筋かいが図面位置に入っていないこともままあること。
ちょっとした増築も,特殊な仕様なためうかつに手を出せません。
僕なら,絶対に買いません。

その他,腐朽菌やシロアリのこと,水平構面のこと,防水性能のこと,考えなくちゃならないことは多いです。
すなわち,実務的な良質な中古住宅の流通には問題山積です。

しかし,ぜひチャレンジしてみたいですね。
いい物件,探しています。

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