株式会社幸工務店

M邸 <新築>

M邸 <新築>

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福山市内に建つビルトインガレージを併せ持つ個人住宅。

夫婦二人のためのこの建物は、閑静な住宅街に建ち、三方道路に囲まれる。
外内観ともに和風要素を保ちつつ、多様な仕上げや設備を取り入れてある。

しっかりと出た軒は、化粧垂木および軒裏、破風板で切妻屋根のリズムを作っているが、和型瓦ではなく高反射タイプ平板瓦を用いることでよりすっきりとしたデザインになっただけでなく、赤外線反射率が一般の瓦の約2倍、裏面温度は約-10℃と、夏の日差し対策に貢献している。屋根・壁とも構造用面材で覆ったうえで通気層を保ちつつ、屋根・壁・床を発泡ウレタン系断熱材で隙間なく充填し、高い断熱・気密性能で省エネに貢献する。
太陽光発電と併せて、建物の燃費(PassiveHouseJapanの建物燃費ナビ基準)はおよそ2.3kWh/㎡、総一次エネルギー消費は約1.02GJ/棟・年を達成している。

また、西日本では施工例の少ない炭入りモルタルを蓄熱槽として利用した温水蓄熱暖房(熱源:ヒートポンプ)で、ほぼ全館暖房を導入しており、無垢材や珪藻土と相まって、快適でくつろげる空間となった。

計画段階から耐力壁線・偏心率・水平構面を意識したバランスの良い建物を目指すことで、耐震等級3を楽々クリアしており、結果として外観の安定感に付与しているものと考える。

平面プランは、室内外を多くの回遊路が仕込んであり、通り土間・ガレージ・LDKやデッキ、階段など、生活動線が豊かになるよう、またハレとケがスムースに切り替わるよう計画してある。

地元の職人たちの腕を持ち寄り、ガレージ入口の木製三枚引込戸や、内外の左官仕事、府中家具の職人、タイル職人など、既成品だけでは決して産まれない手仕事の温かみのある空間になった。